海外のプライベートバンクサービスを利用されている方々、これから利用される方々への啓蒙活動を中心に行っています。

一任勘定や運用力について

まず、あまり知られていない事実ですが、昨今プライベートバンクでは「執行口座」と言われるサービスでの収益の割合が、大手でもかなり高くなっている程一般的な利用方法です。

従って、スイスのプライベートバンク、スイス銀行では「一任勘定がメインである」、という説明や認識は間違っていると言えます。このように説明するのはプライベートバンクでの口座開設と一任勘定をワンセットですすめ、その「プライベートバンクからのバックマージンの金額を高めようとしている業者の宣伝」である可能性もあります。ちなみにこの「バックマージンを受け取ること」は日本の銀行業法に抵触し、違法です。

プライベートバンクにおいての一任勘定の選択については顧客の知識や経験によることが大きいでしょう。
つまり投資等の経験が全くなく一切の投資運用をプライベートバンクに任せたい、という方には便利なサービスかも知れません。

しかし、少しでも投資の経験があったり、投資判断のプロセスに関わりたいまたはそれに興味がある顧客にとっては、そぐわないサービスです。運用内容も投資方針も全てお任せになってしまい運用に失敗をした場合にはブラックボックスでの出来事となり、納得が出来なくなる可能があります。

また、多くのプライベートバンクは報酬が高い一任勘定口座をすすめる傾向にありますが、グループ内の商品で全て固められてしまうこともあり、そのプライベートバンクの運用力や内容、実績等を慎重に検討してから利用する必要があります。

さらに「プライベートバンクに運用を一任すれば、夢の様な運用収益が得られる」、というのは幻想でしか無く、過大な期待はしないようにしましょう。一任勘定サービスの運用実績というのは、それぞれの口座で金額、通貨、タイミング、などが微妙に異なるため正確に測定して比較するのが難しい事も理解しましょう。

つまり各々の利用者の語学力、投資経験、好みなど、様々な要素を鑑みてどのサービスがベストであるかが決まります。従って、一任勘定サービス、助言サービス、執行サービスのどれがベストであるか、と言う議論は全くもって無意味であることを良く理解する必要あるでしょう。

 一任勘定の運用実績を請求しても、なかなかそういった数字が出て来ない場合や、出てきても手数料など差し引き前だったりして必ずしも参考にならなケースがあり難しいところです。

1%の手数料で10年間運用すると残高の10%を支払うことになり、1億円のポートフォリオであれば1000万円もの金額になります。これに見合った付加価値が付くか、留意する必要があります。